シシーやフェムボーイになるための第一歩
男性に関して、「筋肉質」と「化粧」は相容れないと考える人もいるかもしれません。
しかし、フェムボーイというコミュニティでは、そうした既成概念が再定義されつつあります。
フェムボーイたちは、ネイルを楽しみ、スカートをひらりと翻し、他の男性と親しく接しながら、自分らしい外見を大切にしています。
K-POPの韓国ポップスターを思い浮かべてみてください。
華やかでスタイリッシュな彼らのようにフェムボーイとして生きることは、多くの人にとって魅力的に映るかもしれません。
しかし現実には、差別への不安や家族からの期待、自分自身の性自認への戸惑い、さらにはいじめなど、さまざまな壁に直面することもあります。
それでも――
あなたの未来を切り開く可能性を、誰かの偏見や恐れが奪うべきではありません。
この記事では、フェムボーイというアイデンティティを受け入れながら、自分らしく生きるための小さな一歩をいくつかご紹介します。
フェムボーイとシシーの違いは?
フェムボーイとは、現代の俗語で、ドレスやスカートなど、伝統的に女性的とされる装いを好む人を指します。フェムボーイは、ジュエリーを身につけたり、
フェミニンなファッションを楽しんだり、メイクをしたりと、自分らしいスタイルで自己表現をします。また、所作や言葉づかいなどにも 女性らしさを取り入れることがあります。シシー(sissy)とは、「シシー・ベイビー」や「シシー・ボーイ」、「シシー・マン」などとも呼ばれ、一般的には男性的な特徴をあまり示さない少年や男性を指す言葉です。
フェムボーイ/シシーになるためのステップ
フェムボーイとは、伝統的に「女性的」とされる美意識やファッション、趣味・関心を持つ、主に30代以下の男性を指します。
ここでは、フェムボーイやシシーとしてのスタイルを取り入れていくためのステップをご紹介します。
中性的な色や服を身につける
赤ちゃんが離乳食を通じて少しずつ固形物に慣れていくように、あなたも“フェムボーイの赤ちゃん”として、無理のないペースで自分に合うスタイルを見つけていきましょう。
残念ながら、変化を感じ取った周囲の人から、いじめや偏見を受けることもあるかもしれません。それは予測できず、思いがけないタイミングで起こるものです。
だからこそ、最初の一歩として、ジェンダーニュートラルなスウェットやTシャツ、ユニセックスのシューズなど、違和感なく始められるアイテムから取り入れてみるのが賢明です。
楽しい柄や鮮やかな色の服を取り入れるのもおすすめです。
たとえば、グレーやオレンジ、白などは性別を問わず着こなしやすいカラーです。
もし赤のような目立つ色に抵抗がある場合は、まずは光沢のあるクリアタイプのネイルから始めてみてもいいでしょう。
そこから徐々に、猫耳付きのパーカーやレザーのチョーカー、フェミニンさを引き立てるグローブなどにステップアップしていくのが自然な流れです。
ポイントは、ジェンダーレスなファッションや色を試しながら、どんなスタイルでも自分らしく着こなせる“理想のフェムボーイ”へと少しずつ近づいていくこと。
まるで赤ちゃんが大人になるように、あなたも自分なりのペースで、フェムボーイとして成長していきましょう。
女性らしい身だしなみを日常の習慣にする
もしあなたが男性でありながら、女性的な要素を取り入れたいと考えているなら、まず「見た目に無頓着でいること」とは決別しましょう。
その第一歩はセルフケア、つまり身だしなみを整えることです。髪型を整え、清潔感のある服装を心がけることが基本となります。
たとえば、1〜2週間に一度は爪を切り、形を整えましょう。凝ったお手入れをする必要はありませんが、爪の清潔さは大切です。
さらに、ハンドクリームを使えば、手肌は柔らかくなり、より女性的な印象になります。
もちろん、体毛があってもフェムボーイとして成立しますが、女性らしい雰囲気を演出したい場合は、ムダ毛の処理も一つの選択肢です。
耳や鼻のまわり、背中や脚の毛をワックスやシェーバーで整えることで、より洗練された印象を与えることができます。
そんな丁寧なケアの積み重ねが、あなた自身の中にある柔らかな女性らしさを引き出してくれるはずです。
フットケアでは、かかとのひび割れや足の爪の荒れが特に気になるポイントです。
髪はしっかりと洗い、仕上げにお気に入りのヘアオイルを使えば、ふんわりと良い香りが残ります。
全体として、身だしなみを整えるうえで大切なのは、化粧品など「使う」アイテム以上に、爪を整えるといった「行う」ケアそのものにあります。
自分の体に手間をかけることで、自然と内面から女性らしさがにじみ出てくるのです。
栄養バランスのとれた食事をする
国家フェムボーイ庁から食事の指導を受ける必要はありませんし、地元のフェムボーイ支部が、あなたの食生活をチェックしに来るわけでもありません。
でも、フェミニンな魅力を引き出したいなら、まずは食生活の見直しから始めてみましょう。
科学的にも経験的にも、性別に関係なく、健康的でバランスの取れた食事を意識することが、美しさや自信につながるのです。
しかし、ある研究によると、女性は男性とは異なる購買傾向を持ち、よりダイエット効果の高い食品を選ぶ傾向があるとされています。
こうした「女性的」と「男性的」とされる選択の違いに、あえて挑戦してみましょう。
健康的な肌と体型を目指すなら、食事にもっと水分を取り入れ、野菜を多めに摂り、バランスよく食べることが大切です。
友達がジャンクフードを豪快に頬張っている横で、あなたが一杯の牛乳をゆっくり飲んでいる——それだけで十分にフェミニンな魅力を感じさせられるかもしれません。
もちろん、脂っこいものを食べたくなる日もあるでしょう。無理に我慢する必要はありません。
ただ、食生活に少し意識を向けるだけで、自分の身体や外見に対する自信が自然と湧いてくるものです。
伝統的に女性が担ってきた活動に取り組む
最も基本的な定義において、フェムボーイとは「男性でありながら女性的な要素を取り入れている人」を指します。
自分の興味や関心を深く掘り下げることで、自身の内にある女性的な感性や、それに対する思いをより理解できるようになるでしょう。
なぜ自分は女性的な表現に惹かれるのか。その理由をじっくりと見つめ直すことは、とても大切なプロセスです。
たとえば、ネイルを塗ると気分が高まり、鏡に映る自分が少し特別に思える。そんな感覚を大切にしてください。
「どんな女性的な表現が、自分らしさを引き出してくれるのか」を知ることは、この旅路の中で欠かせないステップです。
もしメイクをすることで、まるで森の中にいるお姫様のような気持ちになり、人にやさしくしたいと思うなら、その感覚を大切にしてみましょう。
マニキュアを塗ることで集中力が高まると感じるなら、それも立派な自分らしさの表現。どうか、その喜びに素直になってください。
自分の心を熱くするような女性的な活動を見つけることで、本来の自分や、自分が持つスキルや才能を追い求める動機が生まれてきます。
なぜなら、最終的には、そうした感情の源と、それが自分の中の女性的な側面とどう結びついているのかを理解することが、フェムボーイとしての「自分らしさ」や「好み」を深く知るための出発点になるからです。
女性らしい仕草や振る舞い、感情表現、立ち居振る舞い
マリリン・モンローのようにフェミニンな女性が、怒りにまかせてドアを乱暴に閉めたり、誰かを傷つけるような態度を取ったり、どこへ行っても不快な印象を与えるような振る舞いをしている姿を、あなたは想像できるでしょうか。
多くの人は「ありえない」と感じるはずです。
もちろん、女性らしさが負の感情や怒りと無縁であるというわけではありません。しかし、フェムボーイとしての自分を大切にするなら、礼儀正しく、親しみやすく、品のある“洗練されたフェミニンさ”を目指したいと考えるかもしれません。
重要なのは、こうした品格やマナーは性別に関係なく、人として魅力的に映る要素であるということです。
フェムボーイという存在を支える考え方のひとつに、「男性性」と「女性性」のハイブリッドであるという視点があります。どちらかを犠牲にするのではなく、それぞれの魅力を融合させて、自分らしさを高めるのです。
たとえば、フェムボーイとしての歩みを始めたばかりのあなたが、男らしさの一部である堂々とした態度を保ちつつ、女性らしい自制心や思いやりを身につけたいと思うのも自然なことです。
「ありがとう」と素直に伝えること、誰かの助けを受け入れること、そして他者に親切に接すること。それらは、あなたの内にあるフェミニンな魅力を静かに、でも確実に輝かせてくれるでしょう。
さらに、自分の理想とするフェミニンな人物とつながったり、学びを得たりすることで、自分自身の魅力を深めることもできます。
協力し合えるコミュニティや信頼できる友人とのつながりを持つこと
どのような旅であっても、「自分はひとりではない」と気づくことは、前向きな一歩を踏み出すための大切な気づきです。
フェムボーイにとって特に大切なのは、ありのままの自分を受け入れ、応援してくれる仲間とつながること。
フェムボーイ・コミュニティに参加すれば、自分と同じような経験や葛藤、価値観を持つ仲間と出会うことができ、心の支えになるはずです。
たとえば、外見への不安、性的対象として見られることへの抵抗、いじめ、メイクへの不安といった悩みは、同じ立場の人たちと共有することで癒され、乗り越えるヒントが得られます。
研究でも、こうしたコミュニティは個人の課題をより深く理解し、自由に自己表現するための安全な場として機能することがわかっています。
だからこそ、これからフェムボーイとして歩み始める人には、まずはオンラインコミュニティに参加し、仲間と交流することをおすすめします。
あなたの内面にある女性的な一面を理解し、それを受け入れてくれる仲間と出会うことで、より確かなアイデンティティが育まれ、自然体の自分を表現できるようになるでしょう。
フェムボーイ文化について探る
スパイダーマンでさえ、世界を救う前に、まずはメイおばさんの家で自分のウェブシューティングの能力を試したものです。
自分の中にある女性的な側面を受け入れるためには、「女性らしさ」とされる価値観や美の理想が、どのように自分自身を形づくるかを理解することが大切です。
まずは、他のフェムボーイやフェムボーイ文化について学んでみましょう。
たとえば、西洋における美の基準——体型、若さ、社会的地位などが他人にどう影響しているのかを知ることで、自分にとってそれがどう作用するのかを見つめ直すきっかけになります。
また、他のフェムボーイたちがどのようにボディメイクや外見の変化に取り組んでいるのか、なぜそれを選んでいるのかを知ることも参考になります。
女性化を目指さなくても、自分の身体や心を丁寧にケアしている男性について学ぶことも、自分らしいスタイルを見つけるヒントになるでしょう。
ファッションやメイクに関しても、自分の好みを探ることで、フェムボーイとしての自己理解が深まります。
こうした自己探求を通じて、自分の中のフェミニンな側面に対する考えや感情、姿勢をよりはっきりと認識できるようになるでしょう。
自信を持ち、ありのままの自分を受け入れる
私たちが求めている答えは、すべて自分の中にある——そんな言葉があります。
フェムボーイとしての第一歩は、ファッションやメイク、マナーやコミュニティとの関わりよりも先に、「自分自身を受け入れること」です。
ハーバード・メディカル・レビューによると、否定的な自己対話は、感情やストレスに関係する脳の領域を活性化させ、自己受容が低い人は、感情的・身体的な苦痛を感じやすい傾向にあるといいます。
自分のアイデンティティに納得し、心穏やかに生きること。それこそが、フェムボーイとしてこの世界を前向きに歩むための礎となるのです。
ABCのインタビューで、フェムボーイでありメイクアップアーティストとしても知られるジェームス・チャールズは、「僕は“男の子であること”にも自信があるし、現場ではメイクやネイルを堂々と楽しんでいる」と語っています。
結局のところ、自分自身をどう見るか。その視点を育てていく努力こそが、フェムボーイとして輝くための最も大切な要素なのです。
結論
フェムボーイという存在は、今や多くの場で受け入れられつつあります。
そして、自分らしさを探し求めるその過程では、「何が自分の心をときめかせるのか」を見つめることが、自分自身を理解し、社会の中でどのように自分を表現していくかを考える上で重要な指針となります。
フェムボーイ・カルチャーに触れるにあたっては、まずはジェンダーニュートラルなファッションなど、取り入れやすいスタイルから少しずつ始めてみましょう。
また、femboyコミュニティの一員として、将来的に直面するかもしれない課題について学んでおくことも大切です。
食生活やセルフケアの実践は、自分自身をどこまで大切にできるか、自分の個性をどれほど受け入れられるかを映し出すものでもあります。
誰が何と言おうと、あなたの中には確かに“フェムボーイ”の魂が息づいている。そのことを、どうか忘れないでください。